第15章 恋しい気持ち
「で?二人っきりでなに疚しい事してたの?」
「そんな事してませんってば…」
「そんな事より、義姫様の事を政宗様が探していたらしいが」
成実は思い出したようにそうそう!と言った。
「なんかねぇ、ちゃんの事話してたよ」
「まっまさか!!」
はそう言って小十郎と成実を部屋に残して飛び出していった。
それを成実は残念そうな目で追っていた。
「えー俺ちゃんの話聞きたかったのに」
「…アイツも苦労してるんだろう」
「なんであんな慌ててるの?」
成実は義姫の爆弾発言を聞いていないのでよくわかっていないようだったが、小十郎はから聞いていたので粗方の予想はついていた。
きっと嫁が云々と言っているのだろう。
それを成実に話してやると、とてもうれしそうな顔で小十郎を見つめた。
「梵のお嫁さん?!すっげぇ!」
「政宗様だけじゃねぇ、俺の名前も挙がっていたそうだ」
そう言えば成実はますます期待に満ち溢れたような視線を小十郎に向けた。何が言いたいのかわからない小十郎はなんだ、と聞くと
「俺の名前は聞かなかったの?!」
とほぼ叫ぶと同じような声量で言った。
小十郎は少し驚いていたが鼻で笑った後
「なかったな」
憐れむような視線で成実を見ながらつぶやいた。
そのあと成実は少し泣いたとか泣かなかったとか。