第15章 恋しい気持ち
「…何の話をしていたんだ」
「聞かない方がいいと思います」
取りあえず小十郎にも出て行ってほしいと思いおやすみなさいと言うと小十郎は出て行く様子もなくを見つめている。
何か言いたげな顔をしていたのでどうしたのか尋ねると
「それは言えないような内容なのか」
と言ったきり黙ってしまった。
きっとよからぬことでも考えている、そう小十郎は推測したのだろう。
何せ義姫と政宗は仲が悪いと未来には伝わってる、という話をしたのできっとそういう風に道を行かせようと話をしていたのではないか、と考えているようだ。
は変に勘違いをしてほしくなかったので渋々といった表情で義姫と何を話していたかを伝えた。
「なっ…義姫様は、そ、そのような…」
「…だからややこしくなるって、そう思って片倉さんにも話したくなかったんですよね」
2人の間に気まずい変な空気が漂い、無言が訪れてしまう。
すると何処からかあほっぽい声が聞こえ、ふとふすまをちらりと見ると、どこかで見たような見たことがないような、そんな男が部屋に入ってきた。
「っかー!何してんのお2人さん!なになに?なにしてんの~?」
「え、っとー…」
「成実、命が惜しいならその口を閉じろ」
「ウィッス」
そうか、この男はたしか伊達成実、と思い出したところで酒を片手に成実はの横にドカッと腰を下ろした。
どこか纏う空気は政宗とよく似ている。たしか従兄弟だったような気がするとよく似た顔を覗き込む。
成実の性格は顔に滲み出ている通りお調子者と言ったところだろうか。