第15章 恋しい気持ち

「政宗もまだ子供じゃ、一国の主になったからとてすぐに大人びれるわけがない」

「…はい」

「それはな、も同じ事。まだまだ子供、可愛らしく柔らかな子供」

我が子を愛でるかのようにの髪に義姫は己の手を滑り込ませ、優しく梳かす。

「…政宗にも言われたろうが、泣くのじゃ」

「あはは、言われました」

「無理をして見せるその顔ほど醜いものはないぞ？」

義姫はを抱きしめたまま泣くがいい、とずっと言ってくる。
はぼうっとその言葉を聞きながら色々な事を考えていた。
悲しい、違う、寂しい、ちがう、こわい、なんだろうか、と。
このぽっかりと胸にあいた穴に流れ込んでくるこの気持ちは確かに不快なものだ。もともとそこにあったのはなんだったのだろう。

「義姫様…私は…なんでここに来たんでしょう」

「政宗に興味があったのだろう？」

「…いえ、その前に、何故この日ノ本に来たのか…と」

「望んできたのであろう？」

そうだ、確かには望んできたようなものだ。
確かめるためだとはいえそれを引き受けた。いったいなぜあの時、こっちに期待と思うようになったのだろうか。
こうやって迷惑をかけてしまうのは目に見えて分かっていたのに。

「もうっ…わかんなく、なっちゃいました…」

「では、今決めればよい」

「…っ？」

「政宗の嫁となるがよいわ！」

出かけていた涙がひっこんでしまった。