第2章 こんにちは非日常。さよならしたいです
そして数日後、の運命を変える事件が起きる。
「な、なに…?」
いつも通り薄暗いこの一室、というか牢全体が急にざわつき始めたのだ。
腕時計を見てみれば真夜中の2時を回ったあたり、このざわつきに気が付き他の人達も起きてきたらしい。
「…戦よ」
「戦?」
「近頃この辺りで戦になると見張りが話しているのを聞いたの、恐らくその戦。」
由良は相変わらず落ち着いた様子で淡々と語るがには戦というものに全く耐久がないため、聞いた瞬間体が硬直してしまった。
どうやらこの山中で戦が起きるのは珍しいことではないらしい。戦場へと繋がる道ともなるため屍もごろごろ転がることだってあるとか。
「ここは大丈夫なんですか?」
「わからないわ、何度も巻き込まれそうになるたびにここの見張りが守っていたから今回も大丈夫かもしれないけど…」
そう言って由良は言葉を濁らせた。表情は悟れないがその言葉には絶望などなく、むしろ期待で満ち溢れているようだった。
「聞いた話が間違いなどでなければ今回の戦はとても大きなもの。運が良ければ混乱に乗じて逃げ出せるかもしれないわ」
そういうことだ。
由良に言わせてみれば戦が多ければ大きいほどこの山小屋からは見張りが出ていき、外に現れる足軽達を斬っていくらしい。
今回の戦は大軍のぶつかりあいらしく、騎馬や鉄砲隊など様々な兵が出陣し、城を落とすというものだ、細かい作戦や人数などは把握できていないが、とにかく大戦だというのはよくわかる。
「…私も、外に…!」