第2章 こんにちは非日常。さよならしたいです
ドシャアッ
鈍い音と共に由良が転んだ。どうやら木製の牢は体当たりに負けて折れてしまったらしい。
そして由良はの閉じ込められている牢の前まで来て顔を見せた。
「…!」
腕まくりをして覗かせた真っ白の腕には傷がいくつも付き、髪は後ろで一つに結い上げていた。由良の顔はとても整っていての生きていた時代にいればモテまくりだったに違いないと思う。
「初めまして、由良よ」
「…っです!」
きりっとした印象の由良は目元を緩ませ、優しくに微笑みかけた。それをみた拍子に涙が出そうだったがなんとか押しとめる。
「さて、これ…どうしましょう。頑丈そうね…」
の閉じ込められている檻は腐って脆くなった檻ではない。そうは簡単に壊れないように度々補強を繰り返しているとか何とか。
そこでは思い出した。手持ちの荷物の中に確かライターを入れてあったはずだ。それで火をつけ燃えてきたところにミネラルウォーターをぶっかければ鎮火できる。そこで体当たりでもなんでも衝撃をぶちかませば…。
すぐにライターとペットボトルを用意し、火をつけた。
「まぁっ」
由良はライターに火がともったのを見ると感動したようにこちらを見てきた。そういえばこのライターやペットボトルはまだこの時代に存在していないものだった、とはようやく思い出して苦笑いをする。