第14章 母親の声が
が受け入れられてから約2週間後の事だった。
場内では宴の準備がされ、皆が慌ただしく料理を作ったり、念入りに掃除をしたり。何の宴かは知らないが準備を見る限り相当なえらい方が来ると思われる。
はというと、それはそれは豪華な着物を無理矢理着せられ、髪の毛も弄繰り回され、化粧もさせられ、本当にどこかの国の御姫様にでもなったのではないかというくらい着飾っていた。
嫌がるをよそに女中は楽しげに着物を着せきゃあきゃあ言っている。何がそんなに楽しいかは知らないが迷惑だと少々お怒り気味だ。
「…で、今日は何の宴なの…」
漸く着替えもひと段落ついたところでもう日は高いところにあるのを知った。
縁側には暇そうにしている人などいるわけもなく、はたった一人でぼうっとしていた。
「おい、」
「…あ、片倉さん」
ジト目で見られているのは恐らく暇そうにしやがってこの野郎という意思表示なのだろう。
「今日、誰が来るんですか?私何にも聞いていないんですけど」
「政宗様は何も話してないのか…」
全く、と一息つくと小十郎は真面目な顔つきになってに言った。
「政宗様のお母様、義姫様が来られる」
「…はっ?!」
恐らく伊達軍の誰かが得体のしれない娘を屋敷に連れ込んだという情報を流したのだろうと小十郎は考えたようだが、その考えは的中しているのだ。
義姫は政宗を嫌っている、そしてそこに得体のしれない女がいる。警戒することこの上ないだろう。もしかするとは圧倒的な力に排除されるかもしれない。
様々な夢小説でもそれは嫌って程見てきたのだ。
夢主は義姫に嫌われ、その力から政宗を守る。それはおなじみと言ってもいいだろう。
だがまだは政宗を助けられるほど仲は良くないしよく知っているわけでもない。
どうすればいいかと考えれば位はきゅうきゅう締め付けられるものだ。