第14章 母親の声が
暫く小十郎と談笑していたはすっかり仲良くなってしまった。未来の野菜の話をすれば思った以上に食いついてきて、料理の仕方などを教えれば感心したように話を聞き、たまに案を出してくる。
奥州のオトンか、と突っ込みたかったが、口に出したら極殺を見てこの世とおさらばだと思った。
「おい、終わったぜ」
丁寧に通話終了ボタンまで押していたようで、耳に押し当ててももう母親の声は聞こえなかった。寂しいようなそうでもないような、そんな顔をしていると政宗は今まで見せなかった優しい笑顔でを見つめた。
「アンタのMommyからを守ってくれって頼まれた。ご期待に添えねぇとな」
怒ると怖いだろ、とは上下に頭をぶんぶん振って肯定した。
「…な、何て言ってたんですか」
「は困ったときは助けてやってくれってな」
「…また、お偉いさんに失礼なことを…」
というと政宗はケラケラ笑い出した。小十郎は横で最早同時もせず虚空を眺めていた。
「気にすんなよ、俺がしたくてそうしてるんだからな」
はなんて国主なんだと思いながら小十郎の顔色を窺ってみる。政宗がよしとしても世話役(?)の小十郎がOKを出さなけばれ落ち着いてここにはいられない。
だが見る限り嫌そうな顔をしていないのでこれは無言の了承ととっていいのだろう。
「…じゃ、よろしくお願いします」
「アンタの世界の話も聞きたいしな、此方こそだ」
「……はぁ」
苦労人小十郎は頭を下げてこの場を後にした。
政宗はその様子をみてゲラゲラ笑っていた。