第13章 奥州でも話します。
一通り話し終えれば政宗は特に驚いた様子も見せずにの顔を見つめ、小十郎は疑い深げな神妙な面持ちで俯き加減に、慶次は目を大きく見開いて必死に理解をしようとしているようだった。
椿はただ横で口を出さずに正座をして聞いていた。
「…信じてもらおうだなんて思ってません。頭のおかしい女の言い分として処理してもらっても結構です」
不思議と話してしまえば口は軽くなるもので、ぼろぼろと言葉が零れ落ちてくる。
「でも、先程も話したように、私は武田と身内ではありません。一切関係のない体です。」
だから武田については知らない、と言い切ると政宗は声を上げて笑った。小十郎も慶次も椿もそれに驚いて目線をずらす。
「別にアンタに何かを聞こうとか、武田について吐いて貰おうとは思ってねぇよ」
「じゃ、じゃあなんでここに連れてきたんですか?!」
「…interest」
ぼそっと呟いたそれは懐かしく聞いた英語だった。
「アンタに興味が湧いた、ただそれだけだ。深い意味はない」
それを聞いた椿は勢いよく立ち上がって政宗を見下すように睨み付けた。
拳は固く握られていて、怒っているのかわなわなと震えている。
「それだけでさんを…ッ」
「随分とにご執着なされてるんだな?椿さんよォ」
「そうやって喧嘩腰だからガサツな軍になるんだッ!」
慶次はまた仲裁役になっていたがはもう苦笑いするしかなかった。何度言ったって椿は全然収まらないし、きっと一人の人物に執着するタイプなのだろう。今更治せるような問題ではないと思っている。
「俺もさっちゃんに興味湧いてんだ、なぁっ暫く奥州で暮らしてさ、加賀にもおいでよ!」
「え、い、いいんですか?」
「もっちろん!特にまつねぇちゃんが喜ぶに違いないよ!」
確かに一度まつを見てみたいとは思っていたがここまですらすらと話が進んでしまうとは不安になった。