第13章 奥州でも話します。
「そうだな…この暑さが収まる頃にもう一回来るよ、その時までに加賀に来るか考えておいてよ!」
「りょ、了解しました!」
と、言うと絶対だよ!と言ってすぐさま消えてしまった。
それを見た小十郎は深いため息をついていた。こういう苦労人なところは佐助と変わらないなと改めてオトンを感じた。
「っつーことで決まりだ。主のはここにいるらしいが…どうする」
「どうするもなにもさんに従うまで。」
まるで本物の忍び…いや、忍びなのだが本当に使えているようにふるまってくれる。ここまでして守りたいものとは何なんだろうとは疑問に思っていた。
その後は正式に客人として招かれ、それなりの部屋に通された。椿も同様にその連れということになっているのでの部屋の隣にあるところへ荷物を置かせてもらったようだ。
「あー…まさか伊達軍にまでお世話になるとは…本当に…」
ごろんと寝っ転がって天井を見上げる。
武田ではこうしていれば佐助がすぐに来てお行儀が悪いとよく叱られたものだった。それもない今、だらけまくって平成で夏休みを過ごすのと何ら変わらないと思う。
と、その時、部屋に移動しておいたキャリーバッグから何かの音がした。まさかと思い大急ぎで携帯を見てみれば着信だった。
名前はもちろん、母親。
「…どうしよう、出るべき、…だよね」
ここで誰か来てしまったらどうしようかと慌てていたが、今ここででなかったらもう声を聞けないかもしれないと、思い切って通話ボタンを押した。
「…お、お母さん…もしもしー…」
『馬鹿娘!!!何してんの!!片付けに戻ってきなさい!!』
「…は、はい?」
『いいからッ戻ってきなさい!!!!』
行き成り聞こえたのは聞きなれた母親からの怒鳴り声だった。