第13章 奥州でも話します。
は隠し通すことはできないと思っていた。勘のいい戦国武将だ、一つでも隠し事をしていれば少なからず態度には出るし、常人では気が付けない普段と違う身のこなしも見分けてしまうほどの人物だから。
「…話したくないことは話さなくたっていいんだ」
そう言ってくれる慶次だが、彼も気になっているだろう。
「さん、話さなくてもいいのです。話せばあなたは確実に狙われます」
「だとしても、隠し事は、駄目…でしょ」
「あなたが危険に晒されるくらいなら隠し事の一つや二つ、作ろうが隠し続けようがどうってことありません!!」
椿はこれ以上に戦国の世を歩ませたくはないのだろう。旅をさせたくない、そういうことではないのだ。
「Hey、」
政宗が口を開く、一気に視線が集まった。
「…話せ、何があったのか。椿は知ってるんだろ?」
「……」
椿は無言を突き通す。その様子に大げさなほど肩を落とす仕草を見せてを見る。
は話す事に抵抗はなかったが、万が一受け入れられなかったときの対処に怖がっていた。
「人払いをしろ、誰一人として近づけんな」
「俺はいていいのかい?」
「出ていけっつったって行かねぇだろ?」
「わかってるねぇ」
小十郎が人払いを終えると下座も上座もなく円になって座り始めた。
の左隣に椿、右隣に慶次、それに続き政宗、小十郎という順番になり座布団の上に胡坐をかくなり正座をするなり。
夢小説の主人公に感情移入などしたことのなかったは初めてここで話す事の恐怖に対面した。武田にいる時とは違う壁を作った状態での説明。
は深呼吸をして話し始めた。