第13章 奥州でも話します。
まさかここで慶次に会えるとは思っていなかったは盛大にニヤけるのを抑えながら真顔を保つのに必死だった。なんせ生で政宗、小十郎、慶次、それに夢吉まで見れているのだ。興奮せずにはいられない。
「この可愛い子は誰だい?あっまさか独眼竜の」
「違います!!」
はハッと気が付いて口出しをした。
男と女が一緒にいれば大体慶次は夢小説内ではいい人だとかなんとか言っていたのを思い出したのだ。
「あははっ否定するのが早いね、で?名前はなんていうの?」
「と申します」
「畏まんなくていいさ、ちゃんは独眼竜の客人ってとこかな?」
そう言って慶次は政宗を見たが否定も肯定もせず、どうだろうなと言った。
「や、あの、私もそこらへん聞きたいんですけど…」
と言うと慶次はえ?と首を傾げてを見た。
そりゃあ同意のもと連れてこられたわけではないし、ほぼ、というか完全に誘拐の形でここに招かれたのだ。
それを慶次に説明するとますます意味が分からないという顔になった。
「おいおい、まさか独眼竜あろう者がたった一人のか弱い女の子を誘拐したってのかい」
「だから、そうなんですって」
「どこがか弱いだ、あんな供連れやがって…普通に招いたところで来るかよ」
また執務に戻ったのか机に向かい筆をとりながらそう話す。
供、というのは恐らく椿の事だろう。政宗が知っているくらいだからかなり凄腕の戦忍だったようだ。確かに茶屋ですれ違った時も目さえあわせていないのにあの警戒のしようだ。来てくださいと頼んでもはのこのこ付いていくだろうが椿はそれを止めるだろう。
だから強行手段として誘拐などということをしたのだろう。
「…ちゃんってお姫様なの?独眼竜が警戒するほどの供ってすごくないか?」
「そんな大層なものじゃないですよ、普通の庶民ですってば!」
女性を見る目がある慶次をそう簡単に普通の人間と誤魔化すのは無理があるだろうが変にここで話を持ち出してしまえば今までと面識があった人に迷惑がかかってしまうだろうとは余計なことは言わないことにした。