第10章 欲求
「まだダメです。」
「……。」
「拗ねた顔してもダメです。」
私の眉間にはシワがより、
頬が膨らむ。
これ以上は無駄だと、
モブリットの言葉遣いから察し、
モブリットから離れる。
「つまんないのー。
エルヴィンのとこ遊びに行ってくる。」
そう言って
モブリットに背を向け、
ドアに向かう。
「カコさん、
自分の仕事は?」
「夕方からやっても十分間に合いますー」
自覚する程の
子どもっぽい返答。
「団長の邪魔しちゃダメですよ。」
モブリットは
呆れたようにそう言って、
それ以上は何もなかった。
私もそれ以上何も言うことなく
部屋を後にした。