第1章 水
「何でここに来たの?」
手持ち無沙汰になった私は、
水やりをするモブリットをジッと観察していた。
「カコさんに書類持って行ったら、部屋にいなかったので、色んなとこ探したんです」
「え、何か急ぎだった?」
「そういうわけじゃないです。
ただカコさんはちゃんと休んでくれないから、またトレーニングか仕事してるんじゃないかって心配になって。」
少し照れたように
モブリットはそう言った。
「今も休んでるようなもんだよ?
ところでハンジは?」
「ハンジさんはやっとさっき寝てくれました。」
言葉と同時に出てくる溜め息が、彼の苦労を感じさせる。
「手のかかる上司を持つと大変だね。」
「ホントにですよ。」
今度はモブリットが
蛇口をひねり、水やりを始めた。