第14章 優しい上司
「今回みたいなことは
今日だけじゃないでしょ?
ここが壁の内側だから、
ここに巨人は
いないからって
「カコさん、ジャン。」
ジャンの胸に
人差し指で突き付けながら
眉間に皺を寄せていた
カコの声は、
突然現れた
モブリットの声に遮られた。
2人の目線が
モブリットへ移る。
「カコさん、
何してるんですか?
もう暗いですよ。」
訓練を終えたままの格好だったため、
半袖のままのカコの肩に
モブリットは上着をかけながらそう言った。
日中は
日が差していても、
朝晩はもう寒い。
「モブリット……。」
話を遮られたことが
不服であるような
表情でカコは
モブリットを軽く睨んだ。