第14章 優しい上司
「ジャン、
何かヘマしたんだって?」
「す、すいません…。
ちょっと集中出来てなくて…。」
「はぁ?!
集中とかそういう」
再びスイッチの入った
カコの口を
モブリットは手で塞ぎ、
言葉の続きを止めた。
「まぁこんだけ怒られたし
明日は気を付けるんだよ。
今度こそ一晩中お説教になるから。」
「はい…すいません…」
モブリットの言葉を
現実に感じたのか、
暗い中でもわかる程に
ジャンの顔が青ざめる。
「カコさん、
もういいですよね?
風邪引かせたら
それこそ団長や兵長に怒られますよ?
明日に備えさせないと
悪循環です。」
モブリットは
小さく笑いながら
カコの口を解放した。
モブリットを睨んでいた
目が、すぐにジャンに向けられる。
「明日。
明日も今日みたいな
くだらないミスしたら
ホントにペナルティー考えるから。」
「気を付けます…」
「尚更しっかり休まないとね。
もうここはいいよ。」
「し、失礼します!!」
ジャンが
これでもかという程に
頭を下げ、
走って去っていった。