第11章 熱
「カコは
もっと力抜いていいと
思うけど。」
モブリットは
ベッドの横の椅子に腰掛け
そう言った。
正直、
イラっとした。
どれだけ
男と渡り合うために、
否、追い越すために
身を削ってきたと思ってるのか。
わかってはいる。
モブリットが言いたいのは
そういうことじゃない。
むしろ、モブリットは
私の努力を過剰だと思う程に
認めてくれている。
ただ、
今の私の頭では、
笑って流す程の
余裕がなかった。
結果、
何も答えず、
眉間に皺を寄せながら
モブリットを見るだけだった。
「あ、いや、
悪い意味じゃなくて。」
察しのいいモブリットは
私のその表情を見て
サッと訂正する。