第11章 熱
「倒れた?」
「うん、熱中症だろうって。」
「うーん……
多分生理と寝不足もある気がする。」
熱中症になるほど
自分を追い込んだつもりは
なかったため、
モブリットから水を受け取りつつ
なんとなく理由を探した。
「とりあえずしばらく寝てて。
目が覚めて安心した。」
モブリットが
本当に安堵した表情を見せ、
冷えたタオルを
おでこに乗せてくれた。
「はー最悪。」
「何が?」
「新兵でもないのに
こんなの恥ずかしい。」
一応、
先輩として、
幹部として、
訓練だとか
壁外調査だというときには、
毅然とした態度で
振る舞っていたつもりだった。
私のせいで、
一旦訓練が止まったんだろうと思うと
申し訳なさが勝った。