第10章 欲求
しかし、
エルヴィンの身体に触れる直前の所で、
私の手首は掴まれ、
動きを静止させられた。
私とエルヴィンは
わかりきった表情で
その手の主に目線を送る。
「モブリット、
書類ばら撒いてるよ?」
モブリットは少しの沈黙の後、
私の手首を解放し
複雑な表情を浮かべたまま
書類を拾い始めた。
「それにしてもやっぱり
エルヴィンいいお尻してるよね。
わざわざお尻鍛えてるの?」
「あぁ、カコが喜ぶかと思ってね。」
わざとらしい笑顔を浮かべながら
エルヴィンは私の悪ふざけに
乗ってくれる。
「ほら、早く確かめてみてくれ。
まだ足りないなら
また鍛えるよ。」
そう言われ、
再びエルヴィンに手を伸ばす。