第3章 溢れる恋、腐敗して。
「結生(ゆき)先輩って何で彼女作らないんですか?」
昼休み、いつものように屋上で昼食をとっていた俺はその言葉にパンを食べる手を止めた。
「……は?」
ついさっきまでバラエティ番組の感想を言い合っていたよな?と、頭で考える。
こいつはたまに突拍子もないことを口にする。
「会話の前後を考えろよ…」
「だって気になったんですもん」
そう言ってお弁当の中に入っていたミニハンバーグを一口でぱくりと口に入れた後輩。
もぐもぐと口を動かす後輩の口元についたソースを指先で拭ってぺろりと舐めてやる。
「ほらっ、そんなイケメン仕草が自然に出来ちゃう人ってそういませんよ?」
声を荒げる後輩を横目にはあ、とため息をつく。
「好みの奴が居ないだけだよ。そーいうお前はどーなのよ?理玖(りく)」
逆に話を振ってやるとえっ?と驚きの声を上げる。
俺はそんな後輩の口元をじっと数秒眺めてから目をそらした。