第2章 伸ばした手が触れる残像。
「………好きっ………」
あの時必死で飲み込んだ二文字が口から溢れ出た。
もういい。
またここに帰ってきた、その事実だけでいい。
振られてもいいと思えた。
拓真の首元に顔を埋めて涙を流す。
拓真も同じ様に俺の首元に顔を埋める。
「もう…引っ越してると思った…」
嗚咽を混じらせながら口を開いた拓真の言葉に耳を傾ける。
「まだここに居ると思わなかった…。っ、それでも…」
そこで言葉を切った拓真は、体を離すと涙でぐちゃぐちゃになった顔で真っ直ぐと俺を見た。
「……会いたかった……」
嗚呼…その言葉の意味は…。
その言葉の意味を…。
「…拓真……」