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苦しみの中の幸せ Part4 [銀魂]

第3章 時には昔を思い出そうか


歌舞伎町の街中を歩いていく。
ネオンが目に染みる。
いつも通り、ざわざわと周囲がざわついている。
キャバクラの呼び込み、どこかで起こっている酔っぱらい同士の喧嘩…
眠らない街と呼ばれるだけある。

その中を、ただただ真っ直ぐに歩いていく。
もちろん、屯所に向かって。

トシ達より早く帰らなければ叱られる。

でも、足が重くて進まない。

一歩踏み出すごとに、胸が苦しくなる。
痛くて、苦しくて、悲しくて…

ついには足を止めてしまった。

目頭が熱くなる。
瞳に溜まった涙を落とさないように、上を見上げた。

だが、止まることを知らないそれは、とうとう私の頬を伝っていった。
何度拭っても、止まることを知らないように溢れてくる。

路地裏に逃げ込み、ひっそりと泣いた。
なぜ泣いたのかはわからない。
涙がこぼれたのかもわからない。

ただ、一つ言えることは。

私がどちらかを選択する時が来たこと。

ずっと考えないようにしていたからだろうか。
きっとバチが当たったんだと、私を恨んでいる人ならそう言うだろう。

その通りだ。

誰かが割ったのだろう。
鏡の欠片が落ちていた。

その中に映った私は、今までで一番ひどい顔をしていた。
泣きはらして赤くなった目。
泣くまいと歪められた表情。

そして

何もかも諦めたような、そんな顔。

こんな顔、誰にも見せたくない。

その夜は、ビジネスホテルで明かした。

鳴り響く携帯は、電源を落とす。

シャワーを浴び、いつもとは違う寝床についた。

シーツからは洗いたての洗剤の香りがした。
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