第3章 時には昔を思い出そうか
どれぐらい経っただろう
いや、時間はそれほど経っていない。ただ、この異様な雰囲気に呑まれてしまったのだろう。
時間の感覚が掴めない。
…それだけならどれだけよかっただろう。
異様な雰囲気
そして目の前に現れたもう一人の男。
『全てが真っ暗ってことね…』
夜「お久しぶりですね。いやいや…こんなところで会えるなんて…」
夜右衛門
やはり繋がっていた。
これでカウントダウンが始まった。
総悟
やっぱり私は、あなたたちの敵にまわる運命だったみたい…
全てが真っ暗
私はあなたたちを守れやしないんだろう…
結局は無力
自分が弱いからと力を求めたら、強くなれた。
誰にも負けないぐらい、女だと馬鹿にされないくらい・・・
だからといって、何か変わったか。
そう問われれば答えは否だ。
力を得て、初めて気づいた。
強くなればなるほど、大切な人を失う。
そして、孤独を選ぶ道に走らなければならなくなる。
そうしなければ、傷つけてしまうから。
私はそんなことがしたかったわけじゃない・・・
自分がいくら犠牲になってもいい。死んだっていい。
私が死んで、誰かが生きれるならそれでいい。
なのにどうして空回りする?
こんなことなら
普通に生きたかった。
ただ、普通に暮らす。
一人でもいいから、女として
誰にでも訪れる日常を手にしたかった。
でも、もう戻れない。
私の手は汚れすぎている。
何人殺したかなんて覚えてない。
でも、その殺した相手にも家族が居て、
友が居て、
恋人が居たかもしれない。
私は一体、何人の人の笑顔を奪ってきたんだろう。
そんなこと考えたってキリがない。
でも、考えてしまうんだ。
今、この身になってから。
大切な人ができてから。
愛する人が、慕う人ができてから・・・