第2章 再確認
冲「まあ、悪ふざけはいいとして・・・」
悪ふざけのレベル超えてたから、誤認逮捕されそうになってたから。
冲「多分、こりゃ切腹の作法の一つ「抱き首」でさぁ」
『あー・・・介錯の時の。介錯人にそういう手練れがいるらしいね』
切腹人を楽に一刀で首を落とすだけに飽き足らず、その頭をも地に落とさず、土で汚さぬように、わざわざ首の皮一枚を残して斬る。
それが「抱き首」。
夜「沖田殿、瑠維殿。つまりあなた方が言いたいのはこういう事ですか」
後ろから聞こえた声に、私は顔を歪める。
夜「この一件、下手人は我々、首斬り役人であると」
初めて夜右衛門を見る総悟は、何とも言い難い表情だ。
沖「・・・どちらさんで」
土「捜査の協力のため同行してもらった。公儀御試御用、十八代目池田夜右衛門殿だ」
トシの言葉に私は大きく頷いた。
だが、聞きなれない言葉に総悟は首を捻る。
冲「公儀御試御用?」
『つまり将軍家に納められる刀剣を管理する、腰物奉行の・・・』
夜「いいのですよ。そんな堅苦しい肩書きで呼んでくれなくても」
私はそんな総悟に、言葉を選びながら説明を試みるが、それは当の本人が止めた。
そして、そのまま夜右衛門が自身についての説明を続けた。
夜「刀剣の試し斬りなど、ただの副業に過ぎぬ事は皆知っているでしょう」
刀剣の試し斬りでも十分な御役目だと、私は思いますがねぇ?
と、口に出しそうになったが、トシに凄い形相で睨まれ、口を閉じた。
夜「公儀で預かった罪人の首を斬る、処刑執行人一族。いや、影では「死神」と揶揄されているのは知っておりますので」
眉を困ったように寄せ、本当に笑っているのかどうか微妙な笑みを浮かべ、夜右衛門はそう言った。
冲「成程、死神の事は死神に聞くのが早えってこと・・・」
『死神ってソウルソサエティ残業手当って出るのかな・・・』
私と総悟は、言い終わらないうちに、トシに頭を叩かれた。