第5章 Locations subject to rainbow
[狷介不屈]1
四番隊に向かって走っている途中、数々の死神が奈々美を物珍しい目で見ていた
直接目を向けなくても分かる
その殆どの死神は眉間に皺が寄っていて、とても良い事を言っている様には見えない
いたたまれなくなった奈々美は走行から瞬歩に切り替え、一瞬にしてその場を去った
「桃ちゃあん。今日はお花買ってきたよー」
病室に入る際に言ってみたが、本人からの返答はない
「あれ。桃ちゃん?…あ、そうゆう事か」
彼女は眠りについていた
規則正しい寝息が聞こえる
取り敢えず奈々美は椅子に座ると、噴き出してくる汗を拭った
暫く休んだ後に自分の買ってきた花たちを花瓶に生けていると、ベッドの方から声が聞こえてた
「…シロ…ちゃ…ん ャダと…いで…」
「…え?今何て言ったの…?」
途切れ途切れに呟かれた寝言の数々
自分の勘が正しければ彼女は苦しんでいる
『シロちゃん。ヤダ とらないで』
綺麗な言葉ではないが、自分の好きな男を奪い取ろうとしてる者がいる
その事が分かった