第3章 Lonely warrior
[土崩瓦解]2
一瞬桃の言葉に驚きを隠せなかった奈々美だったが、すぐに彼女が慕っていた藍染と冬獅郎を重ね合わせている事に気付いた為、酷く傷付く事はなかった
「大丈夫だから。何時間か寝て隊長も元気になったから。ただ今日は来ないだけ。明日はきっと来るよ」
そう言うと奈々美は先程修兵にやって貰った様に抱き締めた
右手は頭を撫で、左手は背中をさすっている
それは、こうすると大分落ち着く事を身を持って知ったからだ
案の定、奈々美がこうした事で桃は落ち着きを取り戻した
「本当…?私は本当にシロちゃんを待ってていいんだよね?」
「うん。勿論」
笑顔で返して気付いた事
それは桃の眼が愛しい人を想ってる眼だと分かった事だ
(って事はまさか桃ちゃんって隊長の事…)
その事が分かって素直に喜べない自分がいた
彼女の心の奥に眠る感情を知って、奈々美は初めて心臓がズキズキする感覚を知った
「ごめんね奈々美ちゃん、変な事言っちゃって。でもこれだけは分かっていて欲しいの。今一番必要としているのはシロちゃんだから。
奈々美ちゃんよりもね」
少し笑ってそう話す彼女
しかし、桃の次の言葉は更に奈々美を奈落の底へ突き落としたのだった
「私、シロちゃんの事が好きなんだ」
土崩瓦解(ドボウカガイ):物事が根本的に崩れて手のつけようのないこと