第7章 This more than I do not need
[相思相愛]
『好きだ。昔から、ずっとな』
『これからは恋人の日番谷冬獅郎を見ていきたいです』
「…日番谷隊長、そろそろ離して貰っても良いですか?」
「ヤだね。ぜってー離してやるもんか」
キスをした後、二人はずっと抱き締め合っていた
奈々美が離れようとしても、冬獅郎はその瞬間に体に力を入れる為、なかなか離してくれない
彼の言葉に多少照れながらも、奈々美は無理矢理引き剥がした
彼のもどかしい顔は今は放っておこう
「もー、やっと話せる。隊長コレ、覚えてます?」
そう言って奈々美が死覇装の懐から取り出したのが小指がやっと入るぐらいの大きさをしたリング状の、至ってシンプルなネックレスだった
「覚えてますって、当たり前だろう。それは俺が護廷隊に入って初めて現世任務に就いた時の土産だ。
…って言うかお前まだそれ持ってたのか」
「はい。これは日番谷隊長が初めて私に『残る物』でくれた物なんです。だからその日からどんな時もこれを持って、自分のお守りにしてた」
冬獅郎自身、その様な過去の古い物が出て来るとは思いも寄らなかった
ましてや、それが今までずっと自分の愛する者のお守りになっていたという事も…
「…それで?」
「はい、でも私は今日からこれを隠す様にして持ち歩くのをやめます」
「待て。俺がやる」
奈々美が言いながらそのネックレスを自分の首に回した
だがそれは冬獅郎の言葉によって止められる
彼女からネックレスを取ると、ゆっくりと抱き締める様にして腕を回した
「好きです日番谷隊長。これからも私と一緒にいてくれませんか?」
ネックレスをつけ終わった刹那、奈々美は頬を紅く染めながらはっきりと言った
冬獅郎は一瞬驚いた様に目を見開くが、それはまた直ぐに元通りになった
「当たり前だばーか。俺にとっちゃ好きだなんて言葉、とうに越えてやがんだ。まぁ下より一生離してやるつもりはないけどな」
少し見下した様な様にほくそ笑むと、二人は再び静かにキスをした
(…そのネックレス、やっぱお前に似合ってるよ)
(…知ってますよ、そんな事)
相思相愛(ソウシソウアイ):互いに慕しあい、愛し合うこと