第11章 夕暮れの強制デート
空に夕暮れが迫る頃、私は自室の窓辺に腰掛けて流れる雲を見つめていた。
明日はいよいよ実物の巨人を目にする事になる。
先程、エルヴィン団長から命が下されたのだ。
「そろそろ君も巨人を見てみるかい?」
命令と言うにはあまりにもフランクな言葉であったが、団長の目は真剣そのものだった。
私はハンジ分隊長の下、明日に予定されている実験に参加する。
分隊長は以前「の目で見たモノをそのまま描いてくれ」と言っていたが…ちゃんと役に立てるだろうか。
まだ見ぬ巨人への恐怖が膨らむ。
胸を占拠する不安が大きく、重くなっていく。
己がこの世界にやって来た理由も分からぬ私に、一体何が出来るのだろうか。
『……いや、考えるのは止そう』
敢えて声に出して呟いた。
そうする事で自分に言い聞かせたかったのだ。
余計な事は考えずに与えられた役目をしっかり果たそう。
私はそう心に誓って拳を握り締めるのであった。