第10章 閉めたがる団長
秘密の夜から数時間後。
私は調査兵の通常訓練を見学するため訓練場を訪れていた。
ちなみに、ジャンは非番だと言っていたので勿論姿は見えない。
兵士達は一様にトレーニング着に身を包み汗を流している。その中には先日兵長とやり合っていたミカサの姿も見えた。
『……マジか』
まず最初に驚いたのはその強さだ。
ミカサが相手にしているのは熟練の男性兵士ばかりだが、誰一人として足元にも及んでいない。
次に、その腹筋。
細身の腹部を覆う筋肉はまるでアスリートだ。彼女の破壊的な強さも納得出来る。
兵団で一二を争う美貌と新兵一の強さ。
才色兼備とはこの事か、と私は思わず息を漏らした。
ミカサを中心に訓練風景をスケッチしようとペンを構えていると、そこに兵長が現れる。
肩を並べて歩いているのはエルヴィン団長だ。