第6章 同情と愛情【R18】
クリーンアップ講義の後、使い終えたマツイス○ィックの片付けをしていると兵長に声を掛けられた。
「おい」
講義室のドアから顔だけを出して私を呼ぶ兵長は少し疲れた顔をしている。
あの後、訓練場を駆けずり回って新兵に鞭入れてたし無理もないか。
『どうされました?』
「俺はそろそろ班の方に戻るが」
兵長は言いながら肩掛けにしていたジャケットを着直した。
確かスケジュールではエレンの“巨人化実験”があるはずだ。勿論、私も参加を命じられている。
書記役としての初仕事という訳だ。
『分かりました。私も直ぐに行きます』
「…蹄洗場にいる」
ぼそりと言い残して去って行く後姿。
ドアから顔半面を出してその背中を見つめる。
『(細く見えるのに凄かったなー…)』
私は何かを思い起こすように両の手をわきわきさせていた。