第5章 兵士とは言え皆年頃の男子
新任の女教師を野次る男子生徒。
それを冷ややかな目で見る女子。
何処にでも有りそうな、そんな風景。
しかし私達は忘れていた。
此処には教師でも生徒でもなく兵長様がいるという事を。
キィィィィ……ッ‼︎
全身鳥肌ものの不快音が部屋に響く。
驚いて振り返るといつの間に移動したのだろうか、兵長が黒板を爪で引っ掻いていた。
「それで…クソガキ共、無駄話は済んだのか?」
言いながら凄む兵長は鬼そのものだった。
怖いなんてもんじゃない。
だって所々黒板が割れている。
「すいませんでした…!」
話の発端を作ったコニーは特に震え上がっていた。しかし、今更謝った所で兵長の気が収まる訳もなく。
「案ずるな、コニーよ」
「へ…?」
「一瞬で楽にしてやる」
「へ⁉︎」
スパァァァン…ッ‼︎
人類最強のチョーク投げは優に時速170kmを超え、若き新兵の坊主頭を貫通したという。
この噂を耳にした団長が“調査兵団ウィングス”を結成し憲兵団と野球試合をする事になるのは、もう少し後のお話。
第五章[兵士とは言え皆年頃の男子]完