第25章 それでもその日はやって来る
懇親会から数日が経った。
よく晴れた空の下、精悍な顔付きで馬に跨る兵士達は今日……壁外へと向かう。
風で翻るグリーンのマント。
出発の命を待つ逞しい背中。
ある者は自由の翼をはためかせ、またある者は一角獣を背負う。
両兵団の協定が結ばれたことで第57回壁外調査は開始以来最大規模での遂行となった。
「おい……そんな顔をするな」
俯いて道端の枯れ草を見つめていた私に兵長の声が降りかかる。
重い首を上げてみると、壁上で大砲を構える駐屯兵団が目に入った。
ああ、本当に行ってしまうんだな。
私の頭には漠然とその一言が浮かんでいるだけだ。