第23章 兵団対抗野球大会
かくして、試合の勝敗などそっちのけで行われることとなった団長対決。
会場が一体となって見守る中、エルヴィン団長は大きく振りかぶる。
緊張の一瞬。
真夏のグラウンドを、眩い白球が駆け抜けていく。
「ストライィィィク!」
ピクシス司令が吠えた。
強烈な速球を受けたキャッチャー、エルドさんは尻餅をついている。
「……マジかよ」
速すぎて見えねぇ。
そんなナイル師団長の心中が聞こえてくるようだった。人間の放つボールの速度じゃない。
さすがは人類最強のじゃじゃ馬を従える男。エルヴィン・スミスという男の格が一層上がった瞬間だった。