第23章 兵団対抗野球大会

思いを寄せるアニに無様な姿は見せられない。

兵団の期待も背負っているし、やはり打つしかないだろう。

しかし、打たれ過ぎたら今度はアニが叱られてしまう。

彼女のことは絶対に傷付けたくない。

「(……どうしよう)」

ベルトルトが悲壮な面持ちでバットを構えた時だった。

アニがボールを放ったのである。

「え……⁉︎」

その投球に驚きを隠せないベルトルト。
彼は迷いを捨てされぬままバットを振る。

カキーン！
甲高い音を立てて飛んだボールは、見事にフェンスを越えるのであった。