第3章 リヴァイ(兵長で悶える)班
かくして、私は兵長の手引きによりエルヴィン団長に拝謁することとなった。
「ふむ…素晴らしいな」
そう呟いた団長は自分の似顔絵とも言うべきモンタージュに目を落としている。
想像していたよりもずっと体格が良い。
更に、オーラが半端じゃない。
横に並ぶリヴァイ兵長が少年に見える程だ。
「聞くが君は…いや、あえて名前で呼ばせてもらうがには身寄りが無いのだとか」
『…はい』
「異国の民だとも聞いた。少なくとも我々が知らぬ程、遠くの地からやって来た…と」
『仰る通りです』
私は余計な混乱を招かぬようにと短い返答を心掛けた。すると“日本の絵”を眺めていた碧眼が此方に向けられる。
「非常に興味深い」
その後に続いた言葉を纏めるとこうだ。
彼らにとって未知の言語や知識を有する私は実に興味深い存在らしい。
“壁外の世界”について知る人間は稀であり同時に貴重なんだとか、そんな事を団長は言っていた。
「君に敵意がないのは良く分かった。そこでだ…にひとつ提案がある」
その画才を我々の元で生かさないか?
団長は太陽のように暖かい笑みを浮かべてそう言った。