第14章 オバケなんて嘘さ【R18】
…カ…エレ……
「……っ⁉︎」
突如として響いた女の声にライナーは凍り付く。
“帰れ”
確かにそう聞こえた。
慌てて辺りを見回すが、教会内に他の人影は見えない。
それもその筈だ。
森深くの廃教会に人なんている訳がない。しかも今は真夜中だ。
もちろん自分達の他に肝試しに来た者もいない。じゃあ、一体誰が……?
「アルミン…この教会、些かヤバいかもしれんぞ」
ライナーは一歩後ろを歩いているアルミンに声を掛けた。だが、返事がない。
どうせまた恐怖のあまりに言葉が出ないのだろう。
そんな思いでライナーは振り返る。
「……アルミン?」
アルミンは確かに其処に居た。
しかしどうも様子が変だ。
先程までビクビクと自分の裾を掴んでいた筈のアルミンが、笑っている。
ガクンと頭を前に垂らして肩を揺すっているのだ。
「く…くくっ、ははははは…!!!」
大口を開けて乱れ笑うアルミン。
恐怖で狂ったか、或いは何かに取り憑れたか。
焦ったライナーは咄嗟にアルミンの肩を鷲掴みにした。