第10章 師団長と酔っ払い
「……遅ぇ。」
ナイルは小さく貧乏揺すりをしながら、
進まない時計と鳴らない携帯電話を交互に見つめる。
時刻はとっくに終電を超えている。
なのにリオが帰ってこない。
連絡もない。
飲みに行くというのは聞いているが、
連絡もないとさすがに心配になる。
リオはなんだかんだ文句は言いつつも、
遅くなる時は連絡をいれてくる。
リオも子どもではないのだから、
過保護だと言われるかもしれないが、
心配なものは心配だ。
どれだけ煙たがられようと放置しておくなんて無理だ。
「くそ。」
イライラして立ち上がるものの、
迎えに行く宛てもなく、
またソファへ腰かける。