第14章 師団長と女の子の日
さっきふと気付いたのだが、
私の好きなケーキ屋さんのケーキだった。
このお店はナイルの会社から
家までの道のりにあるお店ではない。
通り道にも色々ケーキ屋さんはあるのに、
わざわざこのお店に行ってくれていることに
正直少し驚いた。
「これにする。」
私はザッハトルテを指差した。
その言葉を聞いて、
ナイルが皿に移してくれる。
「……皿でけぇわ。」
「知ってた。」
「言えよ。」
そんなやり取りをしながら、
大きめのお皿にちょこんと
ザッハトルテを乗せて渡してくれた。
お皿の余白の方が大きくて、
なんだか可笑しかった。