第10章 は?もう俺はお前だけのツンデレじゃねーから……。
カインが中に入れずにいると、扉の方がガチャリと音を立てて開き、ハンスが現れた。
ハンスは目の前のカインに少し驚いた様子だったが、ふっ、と優しく微笑んで、どうぞ、とカインを中へと促した。
「朝からカインに会いに来てもらえるなんて、幸せだなぁ」
ハンスはニコニコと嬉しそうに珈琲を淹れてくれた。
「でも俺が会いに行こうと思ってたんだが……先を越されてしまったな」
自分も珈琲に口をつけながら、ドカッ、とカインの隣に腰を下ろした。
カインはまた心臓が早鐘のように鳴り始めて、思わず胸を押さえた。
「どうした?何処か具合でも悪いのか?」
「べ、別になんでもねー」
カインはハンスにバレないように、思い切り素っ気なく答えた。
「……そうか、本当に大丈夫なんだな?」
ハンスに念を押されて、少し言葉に詰まったが、なんとか、ああ、と答えることが出来た。