第10章 は?もう俺はお前だけのツンデレじゃねーから……。
カインは廊下をズンズン進む。
ハンスには一度ちゃんと言っておかなければ!
(俺はお前の恋人でも女でもないんだぞ……)
ブツブツとハンスに突き付ける言葉を考えながらあるいていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「朝から随分と騒がしいな」
カインがその声の方を振り向くと、相変わらず鋭い眼で此方をみるヘイヤと目があった。
「あー、おはよう……ございます…」
一応敬語の方がいいかな、と語尾を付け加えた。
「別に普通で構わない」
ヘイヤの意外な反応に、カインは少し拍子抜けしてしまった。
「……なんだ?」
ヘイヤもカインの変な反応に眉間に皺を寄せていた。
「いやー……ヘイヤは俺の事嫌いなのかと思ってたからさ」
「別に嫌いではない。気には食わないが」
(……やっぱこいつ、ムカつく)
カインはヘイヤを一瞬でも仲良くなりたいと思った事を後悔した。