第1章 【一大事】妖怪町
「ここに記載する...人間を...妖怪町のー...手伝い係とする...。よってその人間を見つけた...もの、は妖怪町一番通りにある城へと連れてこい...。」
僕はその手紙のようなものを読み終えると唖然とした。
全てが突然すぎて、新社会人の僕には理解しがたくて。
「と、いうわけじゃ。だからワシはお主が帰ってくるのを待ってたのじゃ。」
「全裸で?」
「全裸で。」
化け狐は服をパタパタさせて、
「この人間界は蒸し暑くてたまらんわ。早よう妖怪町に、いきたい。」
と平然という。
「よ、妖怪町って...?」
「その名の通りよ。妖怪だけが住む町。」
「そんな町に人間の僕が行っていいの?」
「そこまでは知らんわ。天狗様に会ってから聞きんさいな。でもそういう命令が出てる限りは何がなんでも連れていかな。」
ってことは断ることは出来ないと。強制的...なのか。僕の楽しい新生活が...その天狗様とやらに、ぶち壊された。...というわけか。
「いつから行くの?」
「なるべく、早く。やな。天狗様は待たされることが、お嫌いじゃ。心の準備が出来てるんなら今からでもいいんじゃぞ?」
としらーっと言われるが僕にとっては人生最大のイベントなのだ。
でも、行くのが遅すぎて天狗様に、怒られても嫌だし...。
「わ、分かった!今から行くから!」
と言うと化け狐はにっと笑って
「ワシはここで待っておくから必要最低限の物を準備しんさい。」
と言った。僕は未だに混乱したまんまだが心のどこかでわくわくもしていた。