第6章 村のショウタイ
「でも、作るのは…。」
「それなりの費用などが必要となるな。」
香李は、納得しないのかそんな事を言ってしまう。それに、対して蓮は冷静に話すのだ。それだけではない。それなりの技術や材料も必要となってくる。蓮は、眼鏡をクイッと持ち上げ肩にバットを抱える。
「多分、大丈夫だろう。奴が来たら、叩き潰すだけだ。」
「そのまま、ついでに優稀を助けるの??」
香李の言葉に、コクリと頷く蓮。そして、武器になるバットを持って部屋を出る2人だった。一方で、鎖に足掻き続けている優稀はついに、パチンッ!と鎖を断ち切ることに成功した。格好が少し奴隷ぽくなってしまっているが…。
「よし!後は、この檻から出るのだが……。」
そう問題の檻をどうやって突破するのかだ。生憎、頑丈な為人の手で開けられるのは不可能に近い。唯一の方法は、鍵だった。どうしようか、と悩み始める優稀。しかし、此処に来る前に鍵を拾った事を思い出して、自分のポケットをあさり始める。すると、ジャランッ!と何かがポケットから落ちる。其処に、落ちたのは優稀が見つけた鍵だった。捕まる前に、鍵を拾った事を思い出す。
「一か八かやってみるか…。」
優稀は、鍵を拾い上げて檻の鍵穴に差し込む。偶然なのかピッタリだった。そのまま捻り、ガチャッ!と音がなる。ゆっくりと檻の扉が開かれる。優稀は、やった…と呟くように言って檻からの脱出に成功。
「香李や蓮が、無事だといいけど……。」
優稀は、辺りを警戒しながらゆっくりと歩き始める。気配だけなら、まだ鈴欄の存在がない。恐らく、別の部屋あるいは別の場所にいると思われる。
──鈴欄、君は一体どうしたんだ??