第6章 村のショウタイ
蓮と香李は、武器を探すためある部屋を見つけてグルグルと歩いていた。すると、蓮があっ!と声を張り上げて、いくつかの小道具を退かし引っ張る。其処から出てきたのは、金属バットだった。
「これ、いけんじゃねぇ?」
蓮は、そんな事を言いながら金属バットを2、3回振り回す。ブンブンという鈍い音が香李の耳に入る。かなりの重みがあるバットだと分かる。
「よし、これでよく分からない奴を倒せるぜ。」
「でも、本当に倒せるの?」
香李は、疑問に思った事を蓮に質問する。蓮は、眼鏡をクイと持ち上げる。
「だって、お前の話によると優稀が奴に向かってノートを投げつけたんだろ?少なくとも、実体化してるって事になる。つまり…。」
「バットで殴れる可能性はあるって事??」
香李の言葉に、コクリと頷く蓮。しかし、人を殴るという行為は犯罪だという事に気付く香李。
「で、でも犯罪になるよ?!」
「お前…奴を見たとき何か違和感なかったか?」
蓮から出た言葉…違和感というのに首を傾げる。そうだな…と悩み始める蓮。やがて、ゆっくりと口を動かす。
「これは、あくまで俺の仮説だが…少なくとも奴は人間じゃねぇ。」
「ゆ、幽霊って言いたいの??」
「ばーか。幽霊だったら、実体化なんかできねぇよ。触れる事すらできねぇ。」
香李は、首を傾げながらじゃあ、何?と蓮に問い掛ける。
「俺の考えなら、奴は人工的に作られた物だ。」
「人工的に作られた物………???」
そうだ、と言わんばかりに頷く蓮。でも、人工的に作るというのは、とても簡単な事ではない。それなりの技術が必要となっていく。それは、誰だって分かる事だ。