第6章 村のショウタイ
「……え、なんで、優稀が……???」
香李は、信じられないのか蓮に質問をする。
「簡単な事だ。アイツが、優稀の事が好きなんだよ。お前だって知ってるだろ?」
蓮は、そんなことを言うと、香李はコクリと頷いていた。さすがの親友である香里は稟が、優稀が好きな事は分かっていた。原因がそれだ。と言い始める蓮。
「んじゃ…優稀が好きな人は知ってるか?」
「ううん……分からない…。」
蓮の質問に、答える香里。蓮は、鈍感にも程があるだろ…と呟くように言う。香里には、一切聞こえない為、首を傾げる。はぁ…と溜息を1つ漏らす蓮。
「知らないなら知らないでいい。分かりやすく言えば、好きな男がいて、その男の事を好きな女がいる。しかし、その男は別の好きな女が好きだと、知った。じゃあ、その女はどんなの感情を生む?」
「え、えっと……。嫉妬とか?」
「正解だ。その男が好きな程、女の嫉妬は強くなっていく一方だ。下手したら、狂気まで生む。」
狂気という言葉に、顔を青ざめる香李。そう、稟の今の状態と全く同じだ。蓮は、苦しげな表情を浮かべる。もしかしたら…と言葉を繋げる蓮。
「今の《ヤンデレ》状態の稟ならば、優稀を殺しかねない。」
蓮の言葉に、息を呑み込む香李。どうすれば…と震えながらそんな風に呟く。蓮は、半分苦しげな表情でもニヤリと口元を吊り上げる。
「やることは、決まった。…優稀を助けるぞ。」
「で、でも……。稟は…包丁を……。」
香李の言葉に、蓮はバーカ…と言いながら彼女の頭を軽く叩く。香李は、突然の出来事に目を丸くさせる。
「誰も無防備のまま行く訳ねぇだろ?武器を探すんだよ!」