第5章 過去………
─稟─
本当だった。お父さんの言った通りに、──には会えなくなった。心のどこかで寂しいという感情が日に日に強く感じるようになっていた。探しに行こうとしても、何処にいるか私には分からない。
──ねぇ……何処にいるの?
私は、ひたすら外を歩き続けるが何処にもいない。孤独感と寂しさが、心の中で積もるばかりだ。そして後々、不安が押し寄せてくる。
「───何処にいるの?会いたい、会いたいよ……。1人にしないで……。」
私は、暗い空間でそう誰かを呼び続ける。しかし、返事は返ってこない。カツンッ!という足音を自分で立てて、我に返る。今、香李と蓮がいる場所に向かっている。鋭い包丁を握り締めて……。
「優稀ハ…私ダケノモノダカラ…。邪魔者ハ、排除シナキャネ……?」
誰も私を止める事など出来ない。優稀と私はいつまでも一緒にいるのだから………。だから今は、寂しくないよ……。
─稟 終わり─