第5章 過去………
─稟─
「あのさ…──は、何処に行っちゃったの?もう、会えないの……?お父さん……聞いてる?」
「………………。」
私の質問に答えてくれないお父さん。私ほ、お父さんの袖を強く掴み揺らす。何処に、行ったの?の同じ質問をする。お父さんは、溜息混じりで言った。
「………もう、会えないかもしれない。」
「?何で?」
この時、お父さんが言っていた言葉に私は理解出来なかった。もう、会えないというのはどういうこもなのか………。分からない、分からない………ワカラナイ……。だけど、お父さんは、これ以上何も答えなかったのだ。私は、ゆっくりとお父さんから離れていった。私の視界が急に白くなって、何もかも分からなくなっていった。
「…………?」
ふと、目を覚ますと私は机に伏せていた。どうやら、寝ていたみたいでさっきのは、私の夢の話だった。
「…………私ハ…誰ニ会オウトシテタンダロウ………?モシカシテ、優稀カナ………?」
私は、不思議に思ったことを口に出すが、どうも心の中は、モヤモヤとするばかりだ。
──誰ヲ、探ソウトシテイタノ?誰カ、教エテクレナイカナ…?
そんな疑問も思いながらも、首を左右に振り掻き消す。そして、口を吊り上げて席を立つ。
「サテ……私ノ大好キナ優稀ニ会イニ行コウカナ………。」
私は、ゆっくりと歩き始め扉を閉めるのだった。
─稟 終わり─