第4章 クルイ
二人は、ある一定の距離を離れてやっと足が止まるのだった。お互いに、肩で呼吸をしていた為、深呼吸をして落ち着かせるのだった。
「此処にも、アイツがいたのかよ…………。」
「本当に、何処まででも追いかけてくるんだね……。疲れちゃったよ………。」
かなり走った為、今何処にいるのかお互いに、判断できない。一つ言えることは、地下に入って来る前の扉から随分離れたという事だ。蓮は、息を吐き出して言った。
「場所が、わかんねぇな。……とりあえず、グルグルと歩いてみっか……。」
「……ねぇ…………。此処に、優稀は居るのかな………?」
香李は、蓮に質問をすると彼の動きが止まる。やがては、知らねぇ……と呟くように答える。彼は、彼女に背を向けて、行くぞと声を掛け歩き始めるのだった。その後、彼女も後を追いかけていく。
──あの村をずっと探して、見つかんねぇんじゃ……可能性は此処しかねぇよ。ぜってぇ、此処に居んな……。
蓮は、そんな風に心の中で思っていた。なるべく、心配掛けないようにするための、蓮なりの気遣いなのだろう。スマートフォンの灯りを頼りに、この地下室を歩くのだった。