第4章 クルイ
→2人で逃げる。
「嫌だよ!!2人で逃げるの!!優稀みたいに、居なくなっちゃったら………私………。」
香李は、涙が一杯になった瞳で、蓮を見て言った。彼は、息を呑み込み何も言えなかった。だが、少女は何も待ってくれない。徐々に2人に近づいて行く。蓮は、あぁ、もう!!と声を張り上げて、彼女の右腕を掴み走り出す。
「分かったから、逃げるぞッ!!」
「…………………うん!!!」
2人は、一緒にその場から離れるように全力で逃げ出す。勿論のこと、少女は2人の後を追いかけていく。
「マッテヨ………。マッテヨ…………。」
2人は、少女の言葉を無視して、とりあえず逃げ続ける。段々と少女との距離が遠ざかってきた。やがて、後ろを振り向くと少女の姿は、見えないがまだ足音は聞こえてくる。
「チッ………まだ、近くにいるみてぇだな。」
「うん、そうみたいだね………。」
2人は、少女の姿が見えなくても安全を確保するため、まだ走る事に専念するのだった。
→(58ページへ)