第4章 クルイ
→蓮を置いて逃げる。
香李は、唇を噛み締めてごめん…と言ってから、急いでその場から離れるように走って行った。蓮は、何謝ってんだ?という疑問の気持ちを持ち、笑っていた。そして、例の少女が、蓮の前に立つ。
「………ミツケタ……。ニガサナイ………。」
少女は、不気味な笑みを浮かべ包丁を握り締める。蓮の表情は、一気に固まり体が強張る。彼の頬には、汗が伝う。しかし、彼はへっ、と僅かに笑うのだった。
「やっぱり、どっかで見たことあるような、気がしたが……。ハッキリした。俺は、お前を知っているって言う事をな!!」
蓮の言葉に、少女は驚くかと思いきや何一つも表情は変わらない。無表情のままだ。だが、少女は僅かに口を動かし……お前を知らない…とはっきりと言うのだった。それでも彼は無邪気に笑ったまま、当たり前だ!と答えるのだ。
「シラナイ………ワタシハ、オマエヲシラナイ……。ダレダ……?」
少女は、無表情のまま蓮に問い掛ける。蓮の顔から笑いが消えて、目を細めて鋭く少女を見る。彼は、そうだな…と言いながら腕を組む。少女の手には、未だに包丁がある。むやみに、話すと混乱をして襲われるだろうと考えていた。
「んじゃ…答えてやるよ。お前は───────」
蓮は、少女に向かって話そうとすると、グサッ!という音が彼の耳に入る。それと同時に、蓮の胸からとてつもない痛みが全身に走る。勿論、本人は何が起こったのか分からなかった。蓮の口から赤い液体……血が流れ始めた。彼は、目を大きく見開き首だけを、動かし後ろを確認する。其処に…居たものは……………。
「っ………おい、テメェー………………。」