第4章 クルイ
→事情を聞く。
僕は、一度空気を吸っては大きく吐く。そして、もう一度鈴欄を見て言った。
「鈴欄、どうしてこんな事をしたの?」
「ドウシテカッテ?勿論、誰ニモ邪魔ハサセナイ為ダヨ。」
僕は、誰?と問えば鈴欄は、すぐに黙り込む。答えようとはしないのだ。でも、すぐに思いつく事だ。香李や蓮の事を言っているのだろうと、分かる。
「鈴欄………こんな事したら、いけないの分かっているよね?」
「知ラナイ。此処ハ、誰モ来ナイヨ……。ダッテ……廃村ニナッタ場所ダカラサ……。蓮ヤ香李ダッテ、此処ノ場所ヲ知ラナイカラネ……。私ト優稀ダケシカ知ラナイ場所……。」
不気味な笑みを浮かべて僕に言う鈴欄。やはり、君は変わってしまったのか?と疑ってしまう。いや……もう変わったのだ。彼女の瞳には、光が入っていない。彼女は、さてと、と言って僕の入っている牢屋から離れようとしていた。咄嗟に、彼女を呼び止める。
「ま、待って!何処へ行くき?」
「秘密。ソレトモ、私ガイナイト寂シイ?素直ジャナイノネ…。スグニ戻ッテ来ルヨ…。」
鈴欄は、そう言って僕から離れて行った。とりあえず、殺されずに済んだのは、とても助かったといえる。しかし、問題はどうやって此処から出るべきだろう…と悩んでいた。僕は、大きく溜息をするのだった。
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─優稀 終わり─