第3章 キオク
一方で、稟を探し続けている香李。だが、稟の気配が全くしない。香李は、稟の名前を呼び続ける。
だけど、返事は返ってこない。香李の心の中は、不安で仕方なかった。そして、一軒の家を見つけ、扉を開けて入る。やはり、何処の家も埃だらけだ。
「稟……何処?」
香李は、確かめるように稟の名前を呼ぶ。しかし、やはり返事は返ってこない。すると、埃だらけの机の上に、写真縦があった。香李は、不思議に思い手に取る。
其処には、家族3人の姿が写しだされていた。両親と幼い少女がいた。すると、彼女は違和感をもつ。写真に写っている少女は、彼女達が襲われた少女にそっくりだった。
「ちょっと………待って……。これどういうこと?あの子まさか、本当に死んでるの?」
この写真も、かなり古い物だ。という事は、この少女が生きていれば、恐らく今現在、大人に近い年齢の筈だ、と予測する香李。だが、少女は彼女達を襲ってきた。
姿も、そのままで……。幽霊だと信じるしかないと思える。でも、襲う理由などが見当たらない。
「どうして…私達を襲うのかな?理由でも、あるのかな?………て、そんな場合じゃない。稟を、探さないと………。」
香李は、写真縦を元の位置に戻す。そして、その家から出るのだった。しかし、稟を探す場所が見当たらない。ただひたすらに、村の中を歩いているだけだ。
本当は、連絡を取りたい所だが、『圏外』という事で、連絡取る手段がない。自分で探すしかない。香李は、稟を探し続けるのだった。